vs生活保護

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20111116-OYS1T00215.htm

  • 昭和29年に旧厚生省社会局長が地方公共団体に対し発した通知*1で、困窮する外国人にも生活保護を適用するよう指示している。
  • この通知は通達に分類されるものと思われる。
  • 平成22年3月26日午後に行われた質疑で、「この通知に法的拘束力はあるか」という議員の質問に対し、厚生労働省職員がこの通知は技術的助言であること、また地方自治法に則り強制力をもって地方公共団体に指示しているのではなく、ぜひそのように取りはからうことに協力をあおぐものとして発された通知である旨回答している。(これって強制じゃないんだから現場の公務員が通知に従わなくてもいいんじゃないかってなるんだけど、実際従わなかったらどうなるんだったっけ・・・)
  • 生活保護法の第一条には「国が生活に困窮するすべての国民に対し、」という文言がある。普通、「国民」と書いてあったら、日本国籍を持つ者と解釈するはず。(外国人=日本国籍を持ってない人)つまり、この通知は「誰のための制度なのか」という制度根幹のところに変更を加えているようにも読める。かなり重大な変更である。ていうか、もはや制度の変更のレベルじゃねえの。しかも昭和29年からかよ。戦後直後て。古いんだぜ。そうするならそうするで、国会で審議尽くして法律改正しようよ。行政が勝手に決めていいレベルの物事じゃねえ。法律でやれ。
  • 行政機関内部で発せられる通達は国民の権利義務に影響を及ぼすものではないし、法律でもない。だから普通、裁判所は通達には無関心。どんな通達が出て行政機関が実際にどんな処理していようが、法律の文言から判断する。
  • 産経新聞の記事だと『国籍条項がある他の法律は改正されたが、生活保護法は通知による運用継続を理由に改正が見送られたことなどを挙げ「一定範囲の外国人が、生活保護を受給できる地位を法的に保護されている」と指摘した。』としか書いてなくて、まるで通達の法的拘束力を認めたようにも思えて絶対おかしいよ!ってなった。
  • 読売新聞には『政府が81年、「難民などに対し自国民と同一待遇を与える」とする国連難民条約への批准に伴う国会審議で、法が準用されているため国籍条項撤廃などの改正は必要ないとの見解を示した点を重視。この時点で、国は外国人への生活保護について国際法上などでの法的義務を負ったと認定した。』って書いてある。なんだか意味がわからんド!でも条約を根拠に論を展開しようとしたんだろうということはわかる。ちなみに条約は法律より強い。
  • 「国連難民条約の批准に伴う国会審議」とやらの内容を探して読んでみないことには、この判決がちょっとどういう法理なのかわかんないので、あとで探す。ていうか、この判決が出たのも昨日のことで、まだネット上に判決文全文もアップロードされてない。さすがに読みたい。通達行政がどうのとかいう話はもろ私らの専門じゃんよ。

*1:参考ページには「社発第382号 厚生省社会局長通知 昭和29年5月8日引用」とある。